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委員長はエッチでした

第4章 逃げない





恐ろしい言葉に
悲鳴を上げて
逃れようとして
暴れるのに

いつかのように
突き飛ばされて
壁に頭を
打ち付けてしまう。



助けて……!
黒崎……!



誰かを呼ぶ声を
あげることも
叶わずに
頭を打った衝撃で
目の前が
霞んでいく……。



気を失ったら
ダメだ
必死で首を振って

口の中に鉄の味が広がった。



舌に痛みが広がり
舌を噛んだんだと気付いて



ああ
あたし
死んじゃうのかな……



目の前が霞んで
結城さんの綺麗な顔が近付いた。



寒さを急激に感じて
もう
服を
脱がされたんだと分かった。




あたしの体に
覆い被さる
結城さん。



このまま
あたし
死んじゃえたら
どんなに
楽に……なれるのだろう。



でも
どうせ
死ぬのなら
黒崎の腕で……
有り得ないけど……。






遠くで
あたしの名前を呼ぶ声がする。




あの
少し掠れた
いい声は……
黒崎の声……?



それから……
啓介の声……?




お母さんの声……?




ああ
あたし……
夢を見てるんだ……
幸せな……
夢を……。



だって
黒崎が
こんなところに
来るなんて……
有り得ない……。




「彩香さん……!
しっかりして……!
もう……大丈夫だから……っ!
俺が……!」



泣きながら
あたしの体を
優しく抱きしめてくれる。



こんなの……
有り得ない……




薄れていく
記憶の中で
黒崎の泣き顔は
二度目だと……

思い出した。





……そうだった。
黒崎はあの時に
泣きながら
謝って
あたしを抱きしめてくれたんだった。



あの時
あたしが
酔っ払って

途切れ途切れだった記憶……。




『彩香さん……っ
恐がらせて……ごめん……っ
我慢できなくて……っ
もう、こんなこと、二度としないから……っ
恐がらせる事は……二度としない……っ
だから……っ
俺に君を……どうか、守らせて……っ』




怯えて
泣きじゃくった
あたしを
ずっと
優しく抱きしめてくれた。




その腕の中で
安心できて……



あたしは
意識を手放した……。

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