委員長はエッチでした
第4章 逃げない
啓介side
走って行く黒崎の
後ろ姿を見て
ほっと息をついた。
俺も様子を見に
行って見ようかと思って
はたと気付いた。
黒崎のアパートの鍵。
……どうすりゃいい?
何処かに
鍵がないかと探して
すぐに見つけて
……とりあえず鍵を掛けて出た。
彩香……大丈夫かな?
胸がざわついて
彩香の家に
俺も走って行こうと
思った。
黒崎の家から
彩香の家は
そんなに遠くはない。
歩いたら
せいぜい10分くらい
走ればもっと
5分くらいか?
彩香の家が見えて来て
黒崎が玄関をドアの前で
突っ立って
躊躇してんだと
すぐに気付いた。
「とりあえず、インターホン押せ」
イライラしながら
俺が言うのと
「……っ!
彩香さんの悲鳴が……!」
青ざめた黒崎が
玄関のドアノブを
勢い良く開けるのと
「あんた達、家で何やってんの?」
呑気な彩香の
お母さんの声が
ほとんど
同時に
重なった。
俺より先に
家に上がり込んだ黒崎
彩香の名前を
何度も呟いて
焦った背中で
状況が良く
見えない。
「……どうしたんだ、これは……!?」
壁を背に
口から血を流して
気を失っている様子の
彩香。
その体は裸で
散らばる服を見て
無理矢理脱がせたモノだと
すぐに気付いた。
手首には
赤い痣
白くて綺麗な胸元には
鮮やかな
花のように
散らばる
キスマーク。
俺は一瞬で
頭が真っ赤に燃え上がって
彩香の傍にいる
結城さんを
睨みつけた。
「……のやろう、お前、彩香に何しやがった!」
視界の端で
黒崎がすぐに彩香を抱き寄せ
自分の上着を着せている。
俺は結城さんの傍に
間合いを詰めて
胸ぐらを掴んだ。
「……結城!
あんた、何て事しでかしたの!?
彩香はあたしの……っ、大事な娘よっ!!」
ビュッと空気が動いて
彩香のお母さんが
俺より先に
結城さんの頬に
激しい
平手打ちを放った。
パシーン!!
激しい音だった。
俺が頬を打たれたような
錯覚を覚え
その音で
冷静さを
取り戻した。