委員長はエッチでした
第4章 逃げない
目を覚ますと
そこは
知らない家で
古びた木製の
天井が見えた。
懐かしい畳の部屋の
布団の上で
横になってたみたい。
体を起こすと
知らない男の人がいて
白衣を来ている。
40歳くらいの
渋い顔立ちの美形
目が合うと
優しく微笑む。
……どこかで
会った事がある……?
「目を覚ましたんだね?
頭を打ったから、ゆっくり動いて……」
布団からゆっくり出て
その人と向かい合う。
「僕は啓介の父で、これでも二ノ宮病院の医者なんだ。
……君は舌を噛んだけど出血はすぐに治まったから、問題はないけど、頭を打ったからね、
一晩安静にすれば大丈夫だが、記憶のほうは大丈夫かい?」
啓介のお父さん……?
似てないような
気がするけど……。
記憶……
記憶は……ある
ちゃんと何があったのか
覚えている。
だけど気を失って
そこからは
分からないから……。
「黒崎が来てくれたと思って……、
啓介の声も、お母さんの声もした……」
「黒崎くんはいるよ、あっちの部屋で啓介と話をしている。
お母さんは確かに、あの場所にいた、後は大人同士の話し合いだ。
君は取り合えず、僕の婆さんの家で
保護する事になった。
君のお母さんにも了承を得ている」
お婆さんの家……?
部屋の中を見回す
古びた日本家屋?
懐かしい畳の臭いと
木の臭い。
古い木製の箪笥。
和柄のセンベイ布団。
「こんな古い家で申し訳ないね。
これでも昔は下宿人も住まわせて、
騒がしい時もあったんだが……、
今では時々、看護士が泊まったりもしているが、婆さんの一人暮らしも寂しいからね」
「はい……
ここは場所はどの辺りですか?」
「二ノ宮病院のすぐ近くだよ、
君は暫く、ここで生活するといい」
二ノ宮病院
この辺りでは
大きな病院だ。
黒崎のアパートまで
自転車なら15分くらいの距離
学校までは20分くらいだろうか?
少し遠いいけど
自転車ならあるし
家までの往復も可能だ。
「話し合いの結果、君をここで保護する
形になった、君はなるべく、自分の家に
近付かないほうがいい、本当なら警察に
任せたいくらいなんだが……
君のお母さんがそれを、
よしとはしなかったんでね?」