委員長はエッチでした
第4章 逃げない
黒崎亮side
啓介くんのお父さんが
彩香さんの
本当のお父さん……?
啓介くんの義理のお父さん……?
未婚の母親で
啓介くんを産んで
彩香さんのお父さんと
結婚した……?
二ノ宮さんが
彩香さんの家に来て
事態は直ぐに
収まった。
医者である二ノ宮さんは
まずは彩香さんの
容態を診て
頭を打った事から
直ぐに安静できる
場所を手配。
病院は満床だったらしく
入院する程じゃないと判断して
すぐに自分のお婆さんの家に
彩香さんを車に乗せ
彩香さんのお母さんにも
話をしていた。
そこでは
大人同士の話し合いが
成されたようで
俺は彩香さんを抱きしめて
車の中で
啓介くんと二人で待っていた。
頭を打ったから
一応24時間
容態を診ていた方がいいとの事で
彩香さんが
目覚めるまで
皆で交代で様子を診ていた。
お婆さんは早くに寝るようで
少し話をして
部屋に就寝しに行って
今は啓介くんと二人で
リビングの座布団の上で
座っている。
………なんとなく
何を話せばいいのか。
気まずくて……、
でも
これだけは
聞きたいと思って
口を開く。
「啓介くんは……
最初から知って……?」
「……新しいお父さんが出来て、
夢に見たような、理想的な家庭で、
最初は家も円満だったんだ」
ゴロン
足を組み換えて
溜め息をついている。
「中学生になってから、父さんが俺に聞いて来た、藤島っているか?って、そん時は同じクラスじゃねぇけど、参観日にも来るようになって、
隠し子だって、夫婦喧嘩が始まって……」
「……」
俺は黙って聞いていた。
俺の両親は仲がいいほうだ。
同じ会社で働いて
一緒に海外赴任に行くくらいだから。
「藤島ってこいつのせいでって、どんな奴か
見に行ってやろうって、中学生の時に
公園で会ってな」
「その時からあの公園に……?」
以前にも彩香さんに言ったけど
本当に今まで
良く無事で……。
「……泣いていたんだよな?
ぼ〜と月を見上げて、声もださずに、
ただ涙だけ流して……、
俺は黙ってそれを……見るだけしか出来なかった」
昔から
あの公園で
一人きりで。