委員長はエッチでした
第5章 真面目なだけじゃない
天気が良くて
空は青く
柔らかな風が
あたしの髪を
揺らして行く。
黒崎は無口で
殆んど会話はない。
あたしが
一方的にしゃべって
黒崎が答える。
会話がなくても
沈黙は苦に
ならない。
視線をあげると
すぐに黒崎の
眼鏡の奥の
真っ直ぐな瞳とぶつかる。
見つめ合って
なんとなく笑い合って
ああ
好きだなと実感させられた。
「黒崎、何でもいいから、黒崎の事、
なんか話して?」
「俺の事……?」
「何でもいいから、知りたい」
あたしの言葉に
黒崎は唸りながら
考えている。
真面目に
真剣に
あたしの顔を
じっと見て
なんだか
固まってるみたい。
それが可笑しくて
笑ってしまった。
「好きだな……彩香さん……、
本当に、好き……」
じいっと
見つめられて
ぽつりと呟く。
真っ直ぐな瞳。
「やっ、あの、そうじゃなくてねっ、
黒崎の話を……」
「それしか、思い浮かばない……」
「……っ!」
反応に困ってしまって
顔が熱くなった。
黒崎がふと
足をとめて
その瞳の奥が
甘く光る。
「キス……してもいい……?」
うっ、
これ以上甘々なんて
勘弁して欲しいっ
恥ずかしくて
ぎゅっと目を閉じて
黒崎の手が
あたしの頬をそっと掴んで
優しく
上を向かされた。
空気が動く気配
熱い息がかかり
暖かい唇の感触が分かった。
唇が重なっただけで
全身が痺れるような感覚
胸がじわりと熱くなって
嬉しいと思った。
唇が優しく
少し重なっただけで
すぐに離れる体温に
寂しく思って
黒崎の目を見つめた。
「彩香さんのその顔……ヤバい……」
カアッと赤くなる顔
手を口に覆って
横を向いた。
「ヤバいって何?変な顔してる?」
不安になって聞いたのに
「違う……可愛いくて……ヤバいって
ことだから……っ」
今度はあたしが
赤くなる番だった。
「やっぱり自転車に乗って行こう……っ」
慌てたように
黒崎に促されて
自転車の後ろに乗った。
背中にぎゅっと抱きついた。
「……しっかり掴まっていいから……」
黒崎の言葉に
首をかしげて
更に密着して抱きついた。
「もっと掴まったほうがいいの?」