委員長はエッチでした
第5章 真面目なだけじゃない
「やっ、あの…違っ……、
ああ、もう、これはこれでまた……」
前を向いて
ペダルをこぎはじめる。
「どしたの、黒崎〜?
こぎづらい?
動きづらかったら、言ってね?」
「……これで、いい……」
自転車が進み初めた。
あたしが一緒に
乗っているのに
普通のスピードで走る
ふらつきもせずに
黙って前を向いて。
黒崎の背中に
抱きついて
自分の頬を寄せて
安心して
目を閉じる。
あんな事があったのに
黒崎は何も聞かなくて
知らないフリをして
日常ははじまる
だけど
驚くほどに
優しくて
気を使って
くれてるんだと
分かった。
だって家から
わざわざ学校から
更に遠くなる
おばあちゃんの家に
迎えに来てくれるなんて。
それからまた
今度はあたしを
乗せて
一緒に学校に行くなんて
しんどいんじゃないかな?
なかなか
出来る事じゃないよ。
黒崎の広い背中
意外に逞しい筋肉……
暖かい
体温
頬を寄せて
愛しくて
すりすりしてしまう。
「……っ」
ビクリと震える背中
黒崎の香り。
「ありがとう、
大好き」
聞こえたのか
分からないけど
自転車をこぐ
黒崎の後ろの耳が
真っ赤になっていた。