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1P短編集

第8章 失恋雨新恋

 失恋。突然の雨。溢れ出す涙。漫画で見たワンシーン。

 私は、今その状況に陥っている。

 大好きな先輩への告白。あっけなく振られた。

 涙は溢れ出しとまることを知らない。学校帰りの突然の雨。私は雨にぬれる。

「美希(ミキ)」

 上から声がふってきたと同時に私に雨があたらなくなった。

「憂(ユウ)」

 声の相手は幼なじみの憂だった。

「美希、大丈夫か?」

「う…ん」

 私は作り笑いで頷いた。

「なら良かった。じゃ、また明日な」

 憂はそう言うと走って去って行った。

「あ……傘っ」

 私は憂の背中に叫んだ。

「かしてやるよ。風邪ひくなよー」

「うん、ありがとう」

 私は憂の気持ちが嬉しかった。いつの間にあんなに男らしくなったのだろう。

 少し大人になった憂を意識するとちょっぴりドキッとした。

End

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