誰も見ないで
第4章 真実と真実
そう言うと正樹はそそくさと支度をして机に出しっ放しになってた鍵を取って出て行ってしまった
すごいなぁ、正樹
テキパキ動いて
お金取れるよ
そんなことをぼんやり考えて
「……」
俺は最後の抵抗に、携帯に手を伸ばした
開いても
通知はない
メールの受信をしても
『メールはありません』
やっぱり連絡はなかった
「……ぐす……っ」
熱が出て不安なのと、やっぱり悲しかったのでとうとう涙が出て
俺はそのまま目を閉じて眠りについた
次の日、インターフォンが鳴る音で目が覚めた
「……ん」
人……
紺野君……?
淡い期待感が膨らんで身体を起こそうとするけど
「……っ!」
膝がカク、と折れて1回布団に戻されてしまう
頭ぐらぐらする
熱上がっちゃったかな
ぼーっとする頭を奮い立たせて立ち上がって、壁に手をつきながらどうにか玄関に着いた
鍵を開けると向こう側からドアを開けられてドアノブを掴んでいた俺はよろけてしまう
それを簡単に受け止めたくれたのは
「昨日鍵受け取って行けばよかったかな」
頼れるお母さんで幼馴染の正樹だった
紺野君じゃなかった、か……