誰も見ないで
第4章 真実と真実
それからの僕はクラスが違うから、と廊下を通る時や学校行事の時とかチャンスがあったら必ず渡辺君を探していた
なんだか渡辺君を見れた日はすごくラッキーな気がして本当に嬉しくて
思いは募るばかりだった
そして2年生になって
念願叶って渡辺君と同じクラス
でも、あんなにたくさんの人から視線を注がれていた人気者の筈な渡辺君は教室ではいつも1人だった
近くで噂をしてた女の子たちの話を盗み聞きした限りでは近寄りがたいみたい
けどあんなにずっと1人は
なんだか寂しそう
そんなことないのかな
最初は同じクラスになってもずっと見つめてるだけにするつもりだったんだ
それに、告白なんかしたって絶対に受け入れて貰えるわけないってわかってたから
けど、そんな僕が告白をするきっかけは案外単純だった
ある日の教室
自分の机でぼーっとしてた僕に聞こえてきた話し声
「ねぇまじ!? ユカが渡辺君に告るって!」
「まじで!? 不可侵王子に?」
渡辺君がその時いないから大きな声で話すその女の子たちの会話は僕の耳にもはっきりと聞こえる
「ダメでもともとじゃん? それに、万が一ってこともありえるし」