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誰も見ないで

第4章 真実と真実


その小さな声ですら渡辺君だってわかった僕が誰と話してるんだろう、なんて興味本位で近づいたから


「ーーーーただ友達が欲しかったから告白受け入れたなんて本人に言えないよ?」
「それは……」


こんな話、聞く羽目になっちゃったんだ


「!!!!」


びっくりしすぎて声を出す寸前で駆け出して、トイレの個室に逃げ込む


友達が欲しかったから
告白を受け入れた……?


あれ……僕のこと、だよね……?



僕のこと

好きなわけじゃ
なかったんだ


時間と共に少しずつ込み上げてくる実感と涙


「……っ」


俯いた僕の目線の先に涙でできた雫が落ちた


トイレだし
学校だし

声出してなんて泣けない


と頭では思ってるのに堪えることも、ここから出て行くことも出来なくて1人只管泣いた



……もう、朝のHRも終わる頃だよね


早めに登校してる僕は、これだけ長くトイレにいてもまだそんな時間


そろそろ涙も治ったし
……今日は家に帰ろう


そう思ってトイレから出ようとすると、ポケットの携帯が震えた

メールが来たみたい

中身を確認するために開くと


「!!」


送信相手は渡辺君


『今日学校休み? 大丈夫?』

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