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誰も見ないで

第4章 真実と真実


たくさんあった着信の中に、渡辺君の名前は1つもなくて

大和くんにはすごく失礼なことだけど、僕はがっかりしていた


心配もされてないのかな
あのメールだけ、って


「!」


すると携帯が着信で震える

表示された名前は


「大和くん……」


またがっかりしてる
ほんと、僕ってバカ


心の中で大和くんにごめんね、と謝りながら通話ボタンを押す


「もしもし」
「……瑞稀か?」
「うん」


電話の向こうで大和くんが大きく息を吐く


「急に学校休んで、連絡もつかなくて、心配した」
「うん……ごめんなさい」
「今は家にいるのか?」


今は、って言い方をするってことはもしかしたら家にいないか確認しに来てくれたりしたのかな


「朝からずっと家にいるよ」
「寝てた?」
「うん」


僕のあっさりした答えに「そうか」とまた息を吐く大和くん


呆れられちゃったかな


「調子悪いのか?」
「……ううん」
「じゃあ、何かあったんだな」
「……」


こういう時いいのか悪いのか全部悟られちゃって、情けないな

もっと上手く隠せたらいいのに


僕が黙ると、大和くんは


「明日午前中にそっち行って話聞いてやる」


と言ってくれた

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