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誰も見ないで

第4章 真実と真実


そう言われて「確かに」と妙に納得してしまった


渡辺君は僕を責めたりしない
例え僕がどんな理由で渡辺君との約束を破ったとしても

きっと、悲しむだけ


悲しむ……?


「!」


大変

ほんと、僕ってバカだ


渡辺君
悲しんでるんだ

だからこんなに原君が注意しに来てくれたんだ


僕はまた「教室戻ろう?」と言った原君の腕を掴んだ


「?」
「あ、あの……っ、渡辺君のおうち教えて貰えませんか……!!」


僕がそう言うと原君は一瞬びっくりした顔をして、その後優しい顔で笑った


「紺野君が悪い子じゃなくて本当によかった」
「へ?」
「ううん、なんでもない。ちょっと待って」


そして原君は携帯電話で渡辺君の家の住所を調べて地図で説明してくれた


「ーーーここのコンビニを曲がって、ここ。大丈夫そう?」


いつになく真剣に聞いていた僕は、もう1度頭の中で順路を復習してから頷いた


「はい。大丈夫です」


そして僕は原君にお礼を言って、カバンを取るために教室へと走った



「っはぁ、はぁ、はぁ……っ」


体力がある方じゃないのに、1分1秒でも早く着きたくて疲れた脚を休ませることなく走る

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