誰も見ないで
第1章 告白
帰りのHRが終わっていつも通り正樹と歩いていると
「今日、例の彼とご飯食べたの?」
と聞かれた
その瞬間どきっとしたのは、別に悪いことしたわけでもないのになんでだろう
正樹から紺野君の話題を振られると思ってなかったからかな
「な、なんで知ってるの?」
クラスも違うのに
「俺のクラスでみんなが噂してたから。あの渡辺君が昼休みに教室にいない、って」
俺ってどれだけ学年公認のぼっちなんだろ……
「だから、お昼休み誘われたのかなって」
「うん。お弁当、作ってきてくれたから」
手作りのお弁当って人に言うのちょっとだけ変な気持ち
恥ずかしいような
照れ臭いような
なんとなく、言いづらい感じ
「へぇ、いい子だね。今時女の子でもお弁当手作りするの大変でしょ」
「そうなの?」
「そうだよ。よくドラマとか漫画であるでしょ? 『これ、先輩のために一生懸命作ってきたんです。良かったら食べて下さい!』って、絆創膏だらけの指でお弁当箱差し出してくるの」
そう言われて、ドラマとか漫画の中の人はみんな先輩なの? って思った後にお昼休みの紺野君を思い出した
「あ……絆創膏はいくつかしてた……」