誰も見ないで
第4章 真実と真実
あんまり何にもないなぁ……
お米もないし、お粥作ってあげたかったんだけど……
と、そこで思い出した
あっ
お弁当!
僕はさっきまでいた部屋に戻って自分のカバンの中からお弁当を取り出す
2人分のご飯が入ってるし、足りるよね
幸い今日はご飯には何も味をつけていなかったので、出汁で煮込んでも味が濃くなったりはしないだろう
僕はまたキッチンに行って、他にも使えそうなものはないかって考えながら調理を始めた
数十分後
ただのお粥だと飽きるかと思ってお弁当のおかずも盛り込んだお粥が完成
「……うん、いいかな」
僕も一口味見をして味の確認をしてから渡辺君が寝てる部屋に戻った
隣に座って、また手を繋ぎ直そうとすると
「!」
寝息を立てている渡辺君の手の指がピクピク動いてる
これ……
僕の手を探してる……のかなぁ?
だったら嬉しいな
渡辺君の手の上に僕の手を置く
すると一度きゅ、と握られ、その後力は弱まったけど僕の手を優しい力で握った
ふふ、かわいい
そのまま暫くすると、渡辺君の瞼が動いて口の端から声が漏れた
「……ん……?」
「起きましたか?」
「こ、んのくん……」