誰も見ないで
第4章 真実と真実
僕の名前を呼んでくれる渡辺君の声があまりにガサガサしていて、僕は近くにあった自分のカバンから水筒を取り出した
「お茶どうぞ」
薄っすらと開いた目に見えるように水筒を差し出すと渡辺君がそれを飲む
するとある程度はすっきりしたのか渡辺君が身体を起こした
お手洗いかな
そう思って手を貸そうとすると、渡辺君にその手を取られた
「!」
「紺野君は……体調崩したり、とか……してない?」
そして聞かれたのはこんなことで、僕は面食らってしまう
「大丈夫……です……?」
「でも、連絡……来なかったから……」
そう言われて、言葉に詰まった
もっと渡辺君の体調が良くなったらちゃんと謝ろうって思ってたんだけど、そうだよねやっぱり気になるよね
それに、渡辺君が風邪を引く原因になっちゃったんだから、当然知る権利だってある
僕は何から話そうかな、と悩みながらも口を開いた
とりあえず何より先に謝らないと
「ごめんなさい!!」
突然の謝罪で渡辺君が驚いた顔をしている
「僕実は、金曜日に渡辺君と原君が話してるのを聞いてしまったんです」
更に驚いた顔をする渡辺君