誰も見ないで
第5章 好きになんて(サイドストーリー)
原正樹目線
小さい頃からずっと
原君は素敵だね
正樹君はかっこいいね
王子様みたいだね
って言われ続けてきた
それに対して卑屈になるとかそういうわけじゃない
けど
あまりに幼い頃から言われ続けたその言葉は呪文のように、ある意味では呪いのように俺の人格を形作っていった
「片山さん、それ重そうだね。俺が代わりに持つよ」
「えっ……あ……正樹くん……!?」
「貸して?」
顔を赤らめながら手から荷物を俺に渡す同じクラスの女の子
先生から頼まれて集めたノートを持っていく途中だったみたい
「こういうのは男に任せたらいいのにね」
「わ、私が今日……日直、だから……」
隣を歩きながら片山さんは手をもじもじさせている
恥ずかしいのかな
女の子らしいね
「そっか。もう1人の……田中君? は今日休みだもんね。最初から気づいてあげられなくてごめんね」
「うっ……ううん!」
それから今日の授業の話をしながら歩いていると
「ーーっ!!!」
「ーーー!」
窓の外から人の怒鳴るような声が聞こえてきた
不思議に思って窓から覗いて見たら、校舎裏にあたるそこで人と人が殴り合いの喧嘩をしていた
小さい頃からずっと
原君は素敵だね
正樹君はかっこいいね
王子様みたいだね
って言われ続けてきた
それに対して卑屈になるとかそういうわけじゃない
けど
あまりに幼い頃から言われ続けたその言葉は呪文のように、ある意味では呪いのように俺の人格を形作っていった
「片山さん、それ重そうだね。俺が代わりに持つよ」
「えっ……あ……正樹くん……!?」
「貸して?」
顔を赤らめながら手から荷物を俺に渡す同じクラスの女の子
先生から頼まれて集めたノートを持っていく途中だったみたい
「こういうのは男に任せたらいいのにね」
「わ、私が今日……日直、だから……」
隣を歩きながら片山さんは手をもじもじさせている
恥ずかしいのかな
女の子らしいね
「そっか。もう1人の……田中君? は今日休みだもんね。最初から気づいてあげられなくてごめんね」
「うっ……ううん!」
それから今日の授業の話をしながら歩いていると
「ーーっ!!!」
「ーーー!」
窓の外から人の怒鳴るような声が聞こえてきた
不思議に思って窓から覗いて見たら、校舎裏にあたるそこで人と人が殴り合いの喧嘩をしていた