誰も見ないで
第5章 好きになんて(サイドストーリー)
「!?」
「きゃっ……!? なに、あれ……!?」
隣にいた片山さんが怯えたように俺の方に少し身体を寄せる
「せ、先生呼んできた方がいいよね? 私行ってくる!」
そしてそう言うなり荷物を持っている俺に代わって片山さんは走って行ってしまった
そんな中、俺は彼らのいく先を見守るべきなのだろうかと思っていたら
喧嘩の勝敗がついたらしく、片方は地面に倒れて片方は歩き出した
歩き出した方の生徒は校門へ続く道である俺のいる方へと向かって歩いてきていて
顔を見て誰かわかったら先生に言ったりした方がいいのかなぁ
でも校内の人みんな知ってるわけじゃないし
ましてあんな柄の悪そうな人なんて
と考えてた
そしたら
「うわ」
その人はまさかの、知ってる人
というかこの前名前なんかを知ることになった人だった
相原……大和……
俺の幼馴染の恋人、紺野瑞稀君の幼馴染
つまり俺と彼は幼馴染が恋人同士、という他人ではあるけど全く繋がりがないとはいえない関係だ
俺が歩いていたのは1階で、尚且つ不幸にも窓が開いていたせいで俺が漏らした声が聞こえたらしく
「?」
相原大和が俺の方を見た