誰も見ないで
第5章 好きになんて(サイドストーリー)
「……大切な幼馴染が悲しんでるんだから、手を貸すのは当然ですよ」
先輩だからと一応丁寧語で俺がそう返すと、相原大和は鼻をフンと鳴らす
「そうかよ。随分と幼馴染にご執心なんだな」
「そう言う先輩も、紺野君が気になったからそんなところで盗み聞きしてたんじゃないんですか?」
というか、なんで俺に絡んでくるのか
余計なこと言うなとかそういうこと?
すると、どんどん近づいてきて相原大和が俺の前に立つ
そして
「うるせぇな。ほっとけ」
と言いながら右手を持ち上げた
「!」
暴力でも振るわれると思ってつい身構える
けど
次に俺に訪れた衝撃は、何故か額に手を当てられる感触だった
「やっぱりな」
「は? ……え、なにして」
風邪を引いた人間の熱を測るようにされた手に動揺していると、相原大和が屈んで
次の瞬間には
「!? な、何だ!?」
俺は相原大和の肩に担がれていた
「暴れんなよ。落とすぞ」
「こんなこと急にされたら暴れますよ!」
むしろ平然と受け入れる人間なんているのか!?
手足をバタつかせても何ともなさそうなする相原大和は俺を担いだまま歩き始める