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誰も見ないで

第5章 好きになんて(サイドストーリー)


まだ1時間目が始まるか始まらないかの時間だけど、人がいないのが幸いだ

こんな場面を人に見られたら確実に変な噂になってしまう


俺は下ろして貰うのは無理そうだと諦めて大人しく運ばれることにした


廊下をどんどん歩いて行った相原大和が俺を連れて行ったのは


「保健室……? なんで……?」


ノックもせずに扉を開けると、ベッドの上に俺を下ろす


「自分で気づいてねぇのかよ。お前熱あるぞ」
「え……」


驚きつつも


あぁ、だからさっき俺のでこに触ったのか


と妙に納得する


「けどなんで熱があるなんてわかったんですか」


さっき「やっぱりな」って言ってた
触る前から熱があるのをわかってたってことだよね


すると、保険医のいないのをいいことに保健室をガサガサ漁りながら相原大和が答えた


「なんとなくだ」


なんとなく、って


なんの根拠もない理由に肩すかしを食らっていると、「あったあった」と相原大和が俺の方へやって来た


「ほら」
「……」


体温計……

熱をはかれってこと、だよね


仕方なく体温計を受け取ると、それを見た相原大和が満足げに笑った

シャツの前を寛げて体温計を脇に挟む

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