テキストサイズ

誰も見ないで

第5章 好きになんて(サイドストーリー)


「……はい」


それから急かすように着替えさせられて、俺はあっという間にベッドの中

そしてそれを見送るなり相原大和は「キッチン借りるぞ」と言いながら部屋を出て行った

まさかとは思ったけど、暫くして戻ってきた相原大和の手には当然のようにお盆とその上に乗るお粥


湊斗から見た俺もこんな感じなんだろうか


と思わずにはいられないおかんっぷりに心の中でいやいや、と首を振る


俺こんなにガラ悪くないし


けど、それからお粥を食べさせられたり氷枕を用意されたりした感じはついこの前俺が湊斗にした看病に似ていた


ちょっととぼけた幼馴染を持つ者同士の性なのかな


そう思うけど、こんなに甘やかされるのには慣れてなくて


「いや、洗い物は自分でやるので……」

やら

「そんなに熱も高くないですし、氷枕もいらないです」


と無駄な口を挟んでは「うるせぇな」と相原大和に煙たがられてしまった


素直に甘えられる湊斗のあれも一種の才能だったんだ


一通り看病をされた今思う


「何目開けてんだ。寝ろ」
「……はい……」


それにしてもこの見た目でおかんか、と思っていたら俺の視線にきづいたらしい相原大和が「あぁ……」と声を出した

ストーリーメニュー

TOPTOPへ