誰も見ないで
第1章 告白
次の日も紺野君はやっぱり教室では話しかけにくいオーラを纏ってて、お昼休みに屋上で一緒にご飯を食べた
「どうぞ」
その日もお弁当を作って来てくれたんだけど、指にあった絆創膏は少し増えてる気がする
昨日の正樹が言ってたやつ、ほんとかな
ほんとに、俺にお弁当作るために頑張ったから怪我してるのかな
「ありがと。いただきます」
俺が食べて「美味しい」感想を言うと嬉しそうに笑う紺野君の顔は今日は見えない
残念なような、安心したような
芸能人なんて目じゃないぐらいのかわいい顔をもう1度見たい気もするし
見たらまた顔真っ赤になって午後の授業出れなくなっちゃいそうな気もする
とは言いつつもやっぱり気になるから、風が吹くたびにチラチラ紺野君を気にしちゃう
一方の紺野君は昨日は見れなかったけど、綺麗な箸づかいでご飯を食べ進めている
すると突然俺の方に向き直って
「あの……昨日、あの後も外にいて、風邪とか……大丈夫でしたか?」
と聞いてきた
今までは気にもならなかった話してくれる度にちょっとビクついた態度が少し寂しい
「うん。俺あんまり風邪とか引かないし、全然平気」