誰も見ないで
第1章 告白
相手に気を遣わせないようにしなきゃ、なんて考えてそう答えると紺野君は心底安心したように
「そうでしたか……良かった……」
と言った
「……」
「……」
あ、だめ
このまま黙ったら会話なくなっちゃう
もう少し話したい
「こ、紺野君も、学校休んでることないけど風邪とか引きにくいの?」
俺が必死に会話を繋げようとそう聞くと
「え……ぁ、なんで、僕が休んでない……って……」
すごく動揺させてしまった
あ、違っ……
別に紺野君の欠席してるとかしてないとかチェックしてたわけじゃなくて
だってそもそも紺野君のこと意識したのこの前からだし
えぇと
「ウチのクラスって、休んでる人は朝担任の先生が名前読み上げてるでしょ?」
朝のHRで「今日は田中が休みかー」みたいに
俺朝ぐらいちゃんと起きてるから、聞いてたの!
脳内で必死に弁解しながらも表面では何でもないように言うと
「あ……なるほど……」
と納得してくれた
「いえ、僕は風邪を引きやすいので気をつけてるだけです」
「そうなんだ。気を抜くとすぐ体調崩しちゃうの?」
「そうですね。夏でも冬でも、すぐだと思います」