誰も見ないで
第1章 告白
そ、そんなに……?
笑った顔はまた眼鏡と前髪に邪魔されて見えなかったけれど、口元や声だけでも昨日の笑顔を想像するには十分で
「が……頑張るね」
「はい!」
俺はまた顔を俯かせてしまった
その日俺は正樹に「ちゃんと言ったんだ」と褒められ(茶化され? )ながら学校帰りにスーパーに寄った
「ねぇ正樹、普通のお弁当って何が入ってるの?」
「お弁当? ……なんだろ、だし巻き卵とかからあげとか?」
制服の男子2人がカートを押してスーパーを歩いているのを、周りの人がヒソヒソ噂しながら見ている
そりゃ気になるよね
正樹と一緒だもん
うぅ……
早く終わらせちゃいたい
一旦家に帰って1人で来れば良かった
「ごめんね正樹」
「ん? 何が?」
「だって……すごい見られてる……1人で来たら迷惑かけなかったのに……」
すると、にこにこした顔のまま考えるような間を空けた正樹は
「見られてるは見られてるけど、何で見られてるのかは誤解してるな」
「え? なに?」
「いや、なんでもない。別に見られてるのなんて気にしてないから」
「? そう」
気にしてないならいっか、と俺たちは買い物を再開
そして結局、野菜やお肉を正樹に言われるがまま少し多めに買って帰宅した