誰も見ないで
第6章 キスの次は
「どうかした? 喉乾いた?」
俺が聞くと、紺野くんはふるふる首を横に振った
「?」
「……こんな時間だし、家に帰らないと……」
そう言う紺野くんの顔は明らかに帰りたくないって言っている
俺はまた胸が締め付けられながら
「あの、さ……紺野くんが良ければこのまま泊まっていってもいいよ……? あ、も、もちろん無理にとは言わないけど」
こんな風に人を誘ったりするのは初めてで、すごく緊張する
かっこつかないなぁ
「どう、かな……?」
何故だかきょとん、とした顔の紺野くんに急かすように更に聞いて返事を待つ
すると紺野くんは我に返ったようにハッとして
「い、いいんですか……!?」
と嬉しそうに言った
あぁよかった
喜んで貰えたみたい
「もちろん。ご飯とかは俺が作るからあんまりおもてなし出来ないけど」
「ご飯、作ってくれるんですか? 嬉しい」
何でもかんでも嬉しそうに笑ってくれる紺野くんがかわいくて、俺も伝染して嬉しくなった
「じゃあ……泊まらせて下さい……」
「うん。喜んで」
やった
初めてのお泊り
だけど
「……あ、やっぱり泊まるのは条件付きでもいいかな」