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誰も見ないで

第6章 キスの次は


理由がかわいいから、じゃあ瑞稀君って呼んであげよう


「瑞稀君」
「は、い……」


遠慮がちに返事をする様子もかわいい


でも、瑞稀君も俺が望んでるのは返事じゃないってことはわかってるみたい


ちっちゃい子が寝てる間に喋る練習で口をもごもごさせてるって聞いたことがあるけど、今の紺野君は正にそれっぽい

言いたいけど、言えないみたいな
もどかしい感じ


視線もあっちに行ったりこっちに行ったりしている

そしてもう1度俺が急かすように


「瑞稀君?」


って呼ぶと晒していた視線を一旦下げて、また上げて
小さな声で


「……みなとくん……」


って呼んでくれた


「嬉しい。すごく嬉しい」


俺はベッドにまだ横になったままだった紺野くんを迎えに行くみたいに自分もベッドに入って

ぎゅ、と強く抱き締めた


「恥ずかしいです……」
「ふふふ、恥ずかしがり屋さんなんだね。人の名前ぐらい普通に呼ぶでしょ?」


俺だって正樹は呼び捨てだし
まぁ、そんなことを意識するような年齢になる前からの付き合いだからしょうがないんだけど


俺が上機嫌で瑞稀君をぎゅーぎゅー抱き締めていると、瑞稀君が腕の中から俺を見上げた

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