誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
人には誰にでも他人に言えないことがある
昔の恥ずかしい記憶だったり
思い出したくない嫌な光景だったり
その種類は様々だけど
それが例えば犯してはいけない過ちだったとしたなら
犯された側だって人に言えなくなってしまう
でもその罪を犯された側が自分の大好きな人で
しかもそれが今尚続くものだったとしたら
救ってあげたいって思う気持ちは、ただのエゴになってしまうのだろうか
「……ん……」
朝、窓の外から聞こえる鳥の囀りに目を覚ます
昨日の記憶を蘇らせつつ朝日の眩しさを確かめるように目を開くと
そこには寝息を立てる瑞稀君の顔
やっぱり寝顔もかわいいな
時計を見てみたらいつもよりもずっと早い時間で、まだまだ寝かせてあげられるなって考える
これでまた学校行って机で寝るの?
すごい睡眠欲
自分の考えに心の中で笑う
あ、でもワイシャツとか変えなきゃいけないから早く起きて瑞稀君の家寄った方がいいのかな
俺のは……ふふ、やっぱり貸せないよね
瑞稀君の着ているやたらと大きな俺のTシャツを見て、ワイシャツなんて貸したら大変なことになっちゃうなってまた笑った