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誰も見ないで

第7章 罪と罰と罪と


「そっか。大変だね。先生には俺が言っておこうか?」
「いえ。今から帰ってすぐ電話するので大丈夫です」


瑞稀君のこの言葉を最後に、少しだけ会話が途切れる

きっと俺たち2人共考えてることは一緒で


離れるの、嫌だな


だと思う

それでも俺は学校に行かなきゃいけないし、瑞稀君は家に帰らなきゃいけない


ゆっくり目を合わせて

早朝とはいえ外だし人が見てないとも限らないから、俺は一瞬だけきゅ、と手を握って離れた


「じゃあ、学校で待ってるね」
「はい。終わったら連絡しますね」


そして手を振って分かれる

しばらく歩いて、ここあたりで瑞稀君と分かれた場所も見えなくなるなってところで振り返ったら


「!」


まだ瑞稀君がいて、俺に気がつくと手を振ってくれた

俺も大きく振り返して1人笑う


ただの消防の点検で大袈裟だな
まるで遠距離恋愛するカップルみたい

こんなに近くにいるのにね


あー、でも
学校ついたら瑞稀君眺めるくらいしかすることなかったのに、瑞稀君来るまでどうしよっかな


なんて呑気なことを考えて見えなくなるまで手を振ってくれてた瑞稀君に思いを馳せながら、俺は学校に向かった

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