テキストサイズ

誰も見ないで

第7章 罪と罰と罪と


お父さんはそう叫ぶと、前回来た時に家に置いて行ったお酒を瓶からそのまま飲み始めた


「ぼーっとしてんじゃねぇよ!!!! とっとと行って来い!!!!!!」


そしてまた叫ぶ

僕は痛む身体に鞭打ってゆっくりと立ち上がる

今は少しの時間でもお父さんと離れたいから、頑張ってと自分に言いながら歩いた

けど


「ちんたらしてんじゃねぇよ!!!」
「あっ……!!!」


隣を通り過ぎた時にお父さんが僕の背中を思い切り足で蹴って来てまた床に戻された

玄関の床が固いところに危うく頭を打ちそうになって肝を冷やす


早く行かなきゃ
また蹴られる


それでも僕はまたすぐに立ち上がって、流れた涙を隠すように部屋を出た


「……っ痛」


どこもかしこも痛い状態で歩く僕が向かってるのはコンビニじゃない

近くにあるATMだけが独立して置いてあるスーパー


だって人の目があるような場所だと最悪通報されたり、救急車呼ばれたりしちゃうから

あそこなら駐車場の端っこだし、そこまで人に見られなくて済む


いっそ通報されたらいいのかもしれない
捕まってしまえば、解放される

なのにどうして僕にはそんな度胸もないんだろう

ストーリーメニュー

TOPTOPへ