誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
「おー、紺野来たのか。理由は担任の先生から聞いてるから座れ」
「はい。遅れてすみませんでした」
僕が一言謝りながら席へと向かうと、授業中だった先生がすれ違いざまき僕の背中をトンと叩きながら
「消防設備点検は住人の義務だからな。ちゃんと立ち会って偉いぞ」
と言ってくれた
嘘だから心苦しい
けど、ちゃんとした大人の人に褒めてもらえて嬉しい
色々思うところはあったんだけど、そういう考えが全部吹き飛ぶくらい先生に叩かれた背中が痛んだ
「……っっ」
蹴り飛ばされた時かな
背中打ったから
先生は僕が痛みに耐えてることには気づかないでいてくれたらしく
「じゃあ、続き。教科書39ページから」
と説明を再開している
気づかれなくて良かった
僕は少しだけ痛みが治まるのを待ってから、ゆっくりと教科書とノートの準備をした
それからは特に傷が痛んだりすることもなく、授業は終わって休み時間
僕が来たのが4時間目の途中だったから、もうお昼休みだ
チラ、と見た湊斗君は何故か席にいなくて、代わりに僕の携帯が震えた
『お昼ご飯2人分買いに行ってくる! 先に行ってて』