誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
ぽたぽた垂れるだけの涙が、流れるようになるほど自分の感情と一緒に涙がこみ上げて来た
「わぁ!? ご、ごめん俺また……!?」
僕がより一層泣くから湊斗君はさっきよりも焦った様子でどうしようどうしよう、と手を泳がせている
そして結局僕の隣に腰掛けて落ち着いて、ゆっくりと背中を撫でてくれた
そんな時に僕は撫でられて、あぁそうだったのかって納得していた
何も感じなくなったなんて
そんなわけなかった
ただの心の防御本能が働いてただけだったんだ
あまりに辛いから
自分がこれ以上苦しまないようにって
自分でバリアを張って
それを湊斗君が壊してくれたんだ
だって今はわかる
もう、湊斗君の優しさが嬉しいって
ちゃんとわかる
背中の手の温かさも
かけられる声の穏やかさも
そのことも僕には堪らなく嬉しくて、涙は全然止まらない
湊斗君はずっと困ったようにしてるから、申し訳ないんだけど
結局僕は昼休みの間泣き止むことが出来なくて、湊斗君に説明できないどころかお昼ご飯を食べる時間すらあげられなかった
けど、午後の授業が始まっても湊斗君の手の感触が残ってるみたいで
嬉しい
何でも乗り越えられる気がする