誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
1人なんだし、這ってでも薬ちゃんと飲まないと
と思って改めて周りを見た
ダイニングチェア
ぐちゃぐちゃになったガムテープ
そして今更になって気がついた
部屋に満ちる生臭い異臭と、微かに残る甘い香り
「…………ぁ……」
そこで全てを思い出した
手が突然ガクガク震え始めて
鼻が熱くなったかと思ったら視界が歪んだ
それと共に胃がぐ、と押し上げられる感覚になって
「……っう、ぐ、……っ」
僕は床に胃の中の物を全て吐き出した
「ぅ、うぅ……っぐ、ぅ……っ」
泣きながら何度も何度も吐き出す
2回目くらいからは胃液ぐらいしか出なかったから、喉が焼かれて痛んだ
いっそまた気絶出来たらいいのに
それか
何もかも忘れてしまえたらいい
全部無くして、リセットしてほしい
「……っう、うぅぅぅ……」
手の震えも涙も止まらない
悲しくて
苦しくて
でもどうにも出来なくて
僕はその後夜になってもずっとそこに座り込んだままだった
そして
次の日から僕は学校に行かなくなった
誰とも会いたくないし話したくないから
湊斗君とも
会いたくない
違う
こんな僕じゃ、会えない