誰も見ないで
第1章 告白
1度見てしまうと寝ているのをいいことに目が離せなくなってしまって
「……」
何分、ともわからないぐらい長く紺野君の寝顔を眺めてた
美術品みたい
そしてぼーっと眺めること十数分
突然どこからともなく電子音が鳴り響いた
「!」
「……ん……」
音の正体は紺野君の携帯電話で、アラームをかけてたみたい
目を閉じたままゴソゴソ動いてアラームを止めた紺野君がうっすら目を開いて俺の方を見る
「!?!?」
「ぁ……お、はよ……」
あんまりに動揺した反応に俺もびっくりしてしまった
いや、しょうがないか
教室で寝てたら人に寝顔見られてたんだもん
俺だったら正樹でもちょっと嫌かも
怒ったかな
ちょっと不安になりながら紺野君の様子を伺っていると
「お、おはようございますっ」
声で俺だってわかったのか、慌ててメガネをかけながら特に怒った様子もなく挨拶を返してくれた
よかった
怒ってなさそう
「どうしてこんなに早く……」
メガネをかけ直してまた顔の見えなくなってしまった紺野君を少し残念に思いながら
「早くに目が覚めたから……」
と自然と言った自分に驚く