テキストサイズ

誰も見ないで

第1章 告白


な、何言ってんの俺

違うよ
目が覚めたんじゃなくて、お弁当作るために早起きしたんだよ

なのに

なんだろ
あの程度のお弁当作るのにすごい時間かかるって知られるのがカッコ悪いって思っちゃったからかな


「そうなんですか。それで早くに来るなんて偉いですね」
「あのまま家にいたら、寝ちゃいそうだったから……」


心の中で動揺したまま漸く自分の思ってることがちゃんと口に出てほっとする


「紺野君は? いつもこんなに早く来て教室で寝てるの?」


そんなわけないよね


ちょっとした冗談のつもりの質問だったんだけど、紺野君の答えは意外にも


「え、と……はい」


肯定だった


「じ、実は僕もすぐに二度寝してしまうので、早めに起きて学校に来てるんです。ここで寝ていたら遅刻の心配はないので」


でも、珍しく饒舌な紺野君の答えた理由にはなんだか少し違和感があった


二度寝しちゃう、って
学校の時間に合わせて起きたらいいのに

早く起きなきゃいけない理由があるのかな


けどもしかしたら家庭の事情かもしれない、と思うとそれ以上深い追求は出来なくて

俺は


「そうなんだ」


と納得するしかなかった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ