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誰も見ないで

第7章 罪と罰と罪と


今度は背中を摩られながら歩いていると、突然「あっ……」と正樹が声を上げた


「?」
「……いいタイミングでいい人が来たよ、湊斗」
「なに? 誰?」


「ほら」と指をさされた方向を見ると


「あ……」


確かに、いいタイミングでいい人


「相原先輩!」
「あ、ちょ……っ、湊斗!」


俺が名前を呼びながら駆け寄ると、後ろから焦ったような正樹の声


先輩のこと怖いのかな?
でもどんなに怖い人でも俺には今聞かなきゃいけないことがあるから


「あ?」


突然話しかけたからか、すごく怪訝そうな顔で俺を見た先輩


「あの、瑞稀君がどうして学校に来ないのか知りませんか?」


俺が聞くと、言葉の意味を考えるように少し黙ってから「あー……」と漏らすように言った


「またか」
「また?」


そんな頻繁に起こることなの?


「あいつは昔からそうなんだよ。理由も言わず突然音信不通になる」
「え、それって……」


大丈夫、なの……?


「暫くしたらまたけろっとして戻ってくんだろ。心配すんな」


先輩は軽く手を振りながらそんなことを言う


前からあった?
暫くしたら普通に帰ってくる?

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