誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
「本当に、そうですか?」
俺がついそう聞くと、先輩は面倒臭そうにする
「そうだよ。そもそも家にいないんじゃないか? 昔担任が心配して見に行ったことがあったが、物音もしないし人が出て来たりもしなかったってさ」
頭の後ろを掻きながらそう言われて、本当に前からあったんだって思った
先輩のことを信頼してないわけじゃないけど、なんていうか
「あいつらしくねぇって?」
俺の考えていた言葉がほとんどそのまま先輩の口から出て来て驚く
「……はい。だって、連絡もなく突然なんてそんなこと……するように見えない……」
「人は見かけだけが全てじゃねぇだろ。誰にだって人に言えないことの1つや2つある」
わかる
わかるけど
「俺は……瑞稀君のこと、全部知りたいです……」
俺の言葉を先輩が鼻で笑った
「ふん、そんな誰にでも優しそうな顔して随分とエゴイストなんだな」
エゴ……
やっぱりそうかな
こんな考えは、瑞稀君にとっては迷惑でしかないのかな
しゅん、と俺が俯くと、それまで黙っていた正樹が俺の肩に手を置いた
「そんなに湊斗のこと責めないで貰えますか?」
「正樹……」