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誰も見ないで

第7章 罪と罰と罪と


先輩の視線が俺から正樹へと向く


「責めてるわけじゃねぇだろ」
「いいえ。責めてましたよ」


でも
あれ

正樹さっきまで先輩のこと怖がってなかった……?


軽く言い合いに発展した2人

でも正樹は怒ってるけど、先輩はどこか楽しそうに返している

会話のスピードも早いしなんだか割り込めない雰囲気で暫く黙って観戦していると


突然先輩が正樹をひょい、と抱き上げた


「!? 下ろせ!!」
「こいつ借りてくぞ」


えっ
えっ


「暴力はダメですよ!」
「こいつに? 別に怪我させたりしねぇよ」
「湊斗!! 助けて!!!」
「でも、怪我させたりしないって……」
「そんなアホなこと言ってる場合じゃないんだって!!!」


どちらの味方をするべきか悩んでおろおろしているうちに、先輩が「うるせーな。行くぞ」と言って歩き出す

俺はついて行く雰囲気でもないからその場で立ち止まってた


「湊斗!! 裏切り者!!!」


暴力を振るわれるのは俺が正樹にかもしれない

ごめん
見捨てて


なんとなく見えなくなるまで見送って、1人で自分の家の方へと歩き出す



瑞稀君のこういうことは
よくある……か

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