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誰も見ないで

第7章 罪と罰と罪と


「父さん、母さん……」


やたらとテンション高い母
それに匹敵するほどではないけど、明るい父


連絡もなく海外出張から帰ってくるのはいつものこと


「湊斗ー!!! ただいまー!!!」


母さんは俺を見つけるなり荷物を床にドサドサ落として抱きついてくる


「はーー相変わらずイケメンねーーうちの子はーーっ」


話す余裕もなく俺に頬擦りをする母さん


「か、母さん……おかえり……」
「ただいまー!!」


父さんは、母さんと俺のやりとりを見つめていたかと思ったら俺に近づいて来て

ぽん、と頭に手を置いた


「湊斗。どうした? 何かあったか?」


何、か


「……あ…………」


そう言われた瞬間、目から涙が溢れる


「……」
「……」


母さんが離れて、俺の様子を伺うように顔を覗き込んで手を握ってくれた

父さんは近くに座って、また頭を撫でてくれる


「……っ」


俺はもう涙が止まらなくなってしまって
何も言わずに泣き続ける

父さんと母さんはずっと俺の側にいて、俺が泣き止むまでひたすら黙って待っててくれた


敵わないな
離れていても父さんと母さんは俺の親なんだ

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