誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
俺は1度頭の中で起こったことを整理しつつ話し始めた
「俺の恋人……瑞稀君って言うんだけど、この前から学校に来てないんだ」
「あら。どうして?」
「理由は知らない。それで、瑞稀君の幼馴染の人にも聞いてみたんだけど、中学の時から何度かそういうことがあったって、暫くすれば帰ってくるって言われた。でも、納得いかなくて」
先輩を疑ったんじゃない
瑞稀君はそんなことしないって信じてるだけ
父さんと母さんは黙って話を聞いてくれてる
「それで今日、瑞稀君の家に行ってみたんだ。そしたら、多分瑞稀君のお父さんが帰って来て……」
頭が混乱して来た
またあの怖さが戻って来たからかな
ほんとに、情けない
「それで理由を聞いたんだけど、知らないって追い返された。その時……」
俺は自分のお腹のあたりのシャツをぎゅう、と強く掴んだ
「蹴られ、て…………」
今度は母さんが頭を撫でてくれた
もう俺高校生なのに
完全に子供扱いだ
父さんの方を見たら、父さんは何でか微笑んでいる
「よく頑張ったな。偉いぞ」
そしてそう言われて、俺はまた鼻がツンと痛んで目に涙が馴染むのがわかった