誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
俺は首を横に振る
「頑張ってなんか、ない……っ、だって、俺……瑞稀君に、何にも出来なかっ……ぅ」
声も涙で潤んでしまって、酷く情けない声になってしまった
「湊斗はまだ高校生なんだから、それでいいのよ」
そしてまた2人は俺に「よく頑張ったね」と言う
俺は自分がまだまだ子供だって自覚した反面
まだ子供でいいんだって安心した
瑞稀くんをちゃんと守れるような大人になるのは、もっとゆっくりでいいんだよね
きっと
「いつも傍にいてあげられなくてごめんなさい湊斗。貴方の辛いことなら、全て代わってあげたいのに」
いつの間にか母さんまで涙を流してて、俺は逆に笑った
「仕事忙しいんだから、仕方ないでしょ」
「でも、だってぇぇぇ……」
母さんが鼻をすすると、父さんも笑ってティッシュを差し出す
2人が忙しいことぐらいわかってる
それを恨めしいなんて思ったことはない
むしろ
「俺は2人が大好きだよ。それは、傍にいないからって減ったりするものじゃないでしょ?」
俺の言葉に母さんは何でかもっと涙を流す
父さんはそれを見て笑って、母さんの背中を摩りながら俺の方を見た