誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
混乱する俺に、父さん達は追い討ちをかけるように続けた
「それで……その薬物を、瑞稀君にも使われていた可能性があるの」
薬物、を
瑞稀君が……使われてた……?
「なん、で……」
そんなこと
「……私達が追っていた薬物には強い催淫効果があって、それを使って性行為をすることに夢中になってしまう人が増えていたの」
「おそらく、瑞稀君の父親もそうだったと思う。薬物は錠剤みたいに飲み込むものではなくお香みたいに燃やして吸い込むものだから、その場に一緒にいたとしたら瑞稀君も吸い込んでいた可能性が非常に高いんだ」
瑞稀君を見ると、なんだかぼーっとしている
俺たちの会話が聞こえているんだかいないんだか
わからない
そして最後に、俺は1番衝撃的なことを告げられた
「それで…………その事による大きな精神的苦痛によって、瑞稀君に記憶障害が起こってしまったの」
「!!!!」
記憶障害、って
「瑞稀君には今、人間関係に関する記憶が全くないんだ」
「それって、まさか……」
「あぁ。ご両親のことだけでなく、学校のことも…………湊斗のことも、何も覚えていない」
俺の、ことも……?