誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
俺は今すぐ自分のことを思いっきり殴りたい衝動に駆られた
俺がもっと早く助けてたら
こんなことにはならなかった
俺がもっと早く
瑞稀君の異常に気がついてたら
先輩の言葉に、どっかで安心してたんだ
最低だ
「……瑞稀君は、うちで引き取ることにしたよ。お母様は亡くなられていて、親族の方々とも連絡が取れなかったからね」
「…………うん」
放心する俺にそう言った父さんは、また背中をぽん、と叩いてくれた
「辛ければ、瑞稀君は他の人に任せるか?」
父さんの問いかけに俺は小さく首を横に振る
「ううん。瑞稀君が辛いなら、今度こそ俺がそばに居たいから」
「そうか」
俺の返事を聞いてから母さんが瑞稀君に話しかけた
「それじゃあ瑞稀君、帰りましょうか」
瑞稀君はゆっくりと視線を上げて、母さん、父さん、と見回した
「…………お母さん? お父さん?」
そして俺を見て
「お兄ちゃん?」
と言った
何もわからないなりに今の状況を理解しようとした言葉だったんだろう
そしてそれに対する母さん達の対応はわかってた
「そうよ。おうちに帰りましょう」
否定するようなことを、言わない