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誰も見ないで

第1章 告白


やっぱり
ふふ、かわいい


そして肩越しにチラッとだけ俺を見て、また前を見た


『僕から渡辺君は見えないのに、渡辺君からは僕が見えてるなんてズルイです』


紺野君の返信に「確かにそうかも」と心の中で笑う


でも


『席替えはくじ引きなんだから、単に紺野君の運が悪いんだよ。もしくは俺の運が良かった』


こうなるってわかってて仕組んたりしたわけじゃないんだから、運命の巡り合わせってやつだよ


それからはそれでもやっぱりずるいとか、次の席替え楽しみだね、とか世間話をして時間を潰した


メールのやり取りは朝のHRまでの時間だけじゃなく授業と授業の合間の休み時間にも続いて

他の人たちみたいに立ち上がってどちらかの席で話したり出来たわけじゃないけど、それと同じくらいすごく楽しい時間を過ごせた


なんか紺野君とすごく仲良くなれた気がする
嬉しい


昼休み
また教室からはさっさといなくなってしまった紺野君を追うため、俺もお弁当を持って立ち上がる

そして1人屋上へ向かう道中、ふと


卵焼きの味ってどんな感じだったっけ


なんてことを考えた


ちょっと甘すぎたかな
紺野君の口に合わなかったりしないかな

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