誰も見ないで
第1章 告白
「……」
不味いのに、無理に食べてくれたりしたらどうしよう
いやでも俺が食べた感じは大丈夫だった
けど
好みは人それぞれ違うし
うぅ……それでも一回正樹に食べさせてみたら良かったかな
でも今から正樹のクラスまで行ってたらお昼食べてる時間減っちゃうし
気になり出したらすごく気になってしまって、さっきまでより大分歩くスピードが落ちた
それでも屋上は無情にも近づいてきて
とうとう扉は目の前
ゆっくりと扉を開くと、いつも通りの場所に紺野君の姿
「渡辺君!」
「……うん」
手を振ってくれる紺野君よりも珍しくテンションが低い俺
どうしよう
大丈夫かな
俺が近づいてお弁当を置くと、紺野君がそれはもう嬉しそうに
「お弁当、ありがとうございます」
と笑いかけてくれた
「ううん、こちらこそ。いつも作ってくれてありがとう」
俺もお礼を言わなきゃ、とそう返すと紺野君は「はい」とだけ言って俯いてしまう
どうしたんだろ?
いや、今はそんなこと気にしてる場合じゃないか
……でもここまで来たら食べてもらうしかない
よし
そう腹を括った俺がお弁当を開いていると、漸く顔を上げた紺野君が首を傾げた