誰も見ないで
第10章 同棲
それから瑞稀君の転居の手続きとか引っ越しの手続きをして、瑞稀君の家のものが届く前に母さんたちはまた海外へと飛び立って行った
数日して荷物が届いてからは俺たち2人での荷ほどきの作業
「結構少ないね」
「お父さんのはほとんど捨てちゃったし、自分のものは元々少なかったから」
ダンボール数箱に収まってしまった荷物を開けて並べながらそんな話をする
「確かに瑞稀君洋服とか少ないかも?」
母さんたちが用意して行った箪笥が一段余るレベルで少ない
「学校に行ってるとあんまり着る機会もないので」
少し恥ずかしそうに笑う瑞稀君を可愛いって思いつつ、思いついた
「じゃあ買い物行こっか」
「買い物……?」
「うん。洋服とか必要なもの買いに行こう。お金は母さんたちから貰ってるし」
家を出る前に「引っ越ししてすぐは何かと必要なものが見つかるものだから」といくらかくれた母さんたち
瑞稀君はその時も遠慮してたけど、「お母様に貰ったお金は大学や就職や、もっと必要な時に大切に使いなさい」って言われて押し切られてた
「休日に会ってデート、したことなかったでしょ? 行こ」
俺が笑うと、瑞稀君が頷きかけて暗い表情をする