誰も見ないで
第10章 同棲
俺の矛盾した行動に瑞稀君がくす、と笑う
「なんで俺に腕が4本ないんだろう」
あ、でも腕4本あっても腕4本で瑞稀君のこと抱き締めてなんで6本ないんだって嘆いてそう
いやその前に4本ある人間なんて好きになって貰えない?
それは死活問題
それならやっぱり、腕は2本でいいから
「もう少しこのままでいて……」
俺の呟きにうんって返事ときゅ、と抱き締め返す力が返ってきて顔が緩んだ
結局そのまま数分、なんて表現じゃ足りないほどじっとしてて荷解きが終わるのが夜になってしまった
瑞稀君が作ってくれた晩御飯を俺が机まで運んで、ご飯を食べながらどこ行こうかって考える
「色んなもの買うならショッピングモールとか、駅ビルとかお店集まってるとこがいいかな? 瑞稀君どこか好きなブランドの服とかある?」
俺が聞くと、口に入れたものを噛みながら考えていた瑞稀君が飲み込んでからポソ、と小さな声で応えた
「え? ごめん、もう1回言って?」
自分も口に含んでたものを噛んでたから、小さな声は聞き取れなくて聞き返す
すると
「湊斗君が着てる服、好き……」
といい直してくれた