誰も見ないで
第10章 同棲
「俺が着てる服、って…………あ……っ」
言葉の意味を理解してから、顔が急激に熱くなった
「シンプルだし、すごくかっこいいと、思ってた」
「あ、ありがとう……」
嬉しい
服がってことなのかもしれないけど、かっこいいつて……!!
「そ、それなら、俺がいつも買ってるとこ行こっか。近くのところが移転しちゃって、少しと離れたところまで行かないとなんだけど」
俺の提案に瑞稀君が顔を上げて嬉しそうに頷いた
「うん……っ」
かわいい
それから何時に出発するかとか色々話したんだけど、その中で
「外で、待ち合わせにしたい……」
瑞稀君がそんなことを言い出した
「別々に家を出るってこと?」
俺の質問にこくん、と頷かれて頭の中がハテナマークでいっぱいになる
なんで?
「別にいいんだけど……どうして?」
「…………なんとなく」
そう言われてしまうと他に何とも聞けなくてそっか、と納得したフリをした
「じゃあ、明日は俺が先に家出て、どっかで時間潰してから時間になったら駅に集合でいい?」
「うん」
瑞稀君嬉しそうでかわいい
かわいい、けど
外で待ち合わせは、これでよかった
のかな?