誰も見ないで
第10章 同棲
そしたらすごい機嫌の良さそうな笑顔を向けられて
「だって、湊斗君が選んだものだから」
って言われた
「それに、ブランドが一緒ってだけだけど、湊斗君とお揃いだし」
恥ずかしそうに笑う姿は何とも形容しがたいかわいさで、その場で瑞稀君が潰れるぐらい力一杯抱きしめたかった
その後すぐに店員さんがハサミを持ってきてくれて、タグを取ってそのまま会計
でもその間も俺は
お揃いだって
お揃い
瑞稀君の言葉を反芻しながら嬉しくなって
俺もう今後このブランド以外着れないかも
とすら考えてた
けど母さんたちから貰ったお金で支払って移動する間、瑞稀君も同じように嬉しそうで
それなら
「ねぇ瑞稀君、ここ大きい本屋さんがあるんだけどそこに寄ってもいい?」
「うん。何か買いたい本があるの?」
俺は首を横に振る
「ううん。本じゃなくて、文房具買いたくて」
瑞稀君は「文房具?」とちょっと不思議そうな顔をした
「さっきお揃い嬉しそうだったし、俺も嬉しかったから、シャーペンとかでお揃いとかどうかな……って」
流石に嫌かなぁ?
でも学校始まったら私服はあんまり着る機会ないし