誰も見ないで
第10章 同棲
「いいね。使いやすそうだし」
俺が笑いかけると、瑞稀君もほっとしたように笑う
色は
黒、赤、青、か
「じゃあ僕、黒にする」
瑞稀君が黒を取って、じゃあ俺はーと
「俺は赤かな」
赤いシャーペンを手に取った
「湊斗君らしいね」
「そうかな。俺らしい?」
赤い色のものなんてそんなにいっぱい持ってたっけ?
その後シャーペンぐらい自分のお金で、と言う瑞稀君と俺は別々に会計をした
後から買った俺が瑞稀君のところに戻ると、瑞稀君は嬉しそうにシャーペンを眺めている
それを見て俺の嬉しさも何倍に膨れ上がった
「学校が始まるのって普通なら嫌だけど、今は楽しみ」
「そうだね」
歩き出しても尚袋を眺めてニコニコしてる瑞稀君の頭にぽん、と手を置く
「ん、なに?」
「嬉しいのはわかるけど、今は俺とデート中なんだから、こっち見て」
素直に言った気持ちに、瑞稀君が「え……」と止まってから
「……っ」
一気に顔を赤くさせた
「ご、ごめんなさい……」
謝った瑞稀君の真っ赤な頬があんまりにもかわいくて、俺はつい手で触れる
柔らかい
かわいい
かわいい