誰も見ないで
第10章 同棲
すると、ずっと俺のことを目で追ってくれていたのか瑞稀君はすぐに気がついてくれて
目が合うと小さく笑ってくれた
それに俺も小さく笑い返していたら、後ろから「お待たせしましたー」と声を掛けられて驚きのあまり声が出るかと思った
見られたかな、今の
恥ずかしい
2人分の食事が乗ったお盆を持って瑞稀君のところに戻ると
「ふふふふっ……」
瑞稀君がクスクス笑っている
「なに笑ってるの?」
「だって、すごく肩がびくって揺れてたから」
「……あー……」
見られてたのか
そうだよね
「そんなに揺れてた?」
ここから見える程だったら、店員さんから見たら完全に変な人だよね
俺がちょっと凹んで俯くと、瑞稀君は焦ったように手を振った
「あ……っ、ちが、違うよ? 変だったとか、そういうんじゃなくて……その……」
そういうんじゃなくて、なに?
俺が瑞稀君の話を聞くために顔を上げると、瑞稀君は少し顔を赤くして
「可愛かった、から……」
と言った
もう
そんな風に言われたら何にも言えなくなっちゃうよ
でも瑞稀君がそう言うならいっか
そう思って、じゃあ食べようと瑞稀君に声をかけようとしたら