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誰も見ないで

第10章 同棲


「それに……」


と瑞稀君が続けた


「うん?」
「それに、近くの綺麗な女の人とか周りにたくさんいて、その人達がみんな湊斗君の方見てるのに、湊斗君が僕を見てくれたのが……嬉しくて……」


そう言ってお盆の上のお箸を指先で弄る瑞稀君


早く家に帰りたいって言ったら瑞稀君怒るかな
でも、あんまりかわいいことばっかり言うから

抱き締めたくて
堪らない

けど今から帰っても時間かかるし
そうだ


「瑞稀君、ご飯食べよ」


脈絡のない俺の話に瑞稀君はきょとん、としてる


「早く」
「う、うん……」


いただきます、と手を合わせてすぐに食べ始めた俺を瑞稀君が追いかけるように食べ始めた

顔もずっと真顔のままだからちょっと怖いのか、瑞稀君はチラチラ俺の方を伺ってる


そのまま特に味わうとかなく食事を終えて食器を返すなり俺は瑞稀君の手を引いて歩き出した


「ど、どこに行くの?」
「いいから、こっち」


スタスタ歩いて辿り着いたのは婦人服売り場
を抜けた先にある


「お手洗い……?」


瑞稀君が首を傾げてる


俺は尚も瑞稀君の手を引っ張り、トイレの個室の中へと入れた

俺も入って、鍵を閉める

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